この物語はフィクションであり、登場人物、団体
地名及び店舗等は実在のものと異なります。
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ゆうえんち
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練馬駅でピッチに電話がかかってきた。
「いまどこにいるの?」
「練馬。もうすぐで着くからちょっとまってて」
「うん。待ってる」
自分が10分遅れるのは気にしないくせに
僕が1分でも遅れるとこうだから・・・
「珍しいじゃない。遅刻なんて」
「ゴメンネ・・・えーっと・・・財布が見つからなくってね」
「で、あったの?」
「ほーら。無事!何ともない」
「でも、君が遅れるなんて雪でも降りそうだよ」
君が空を仰いだ。
確かにどんよりしている。
「あれ?なんか顔赤くない?」
「そう?急いで走ってきたからじゃないかなぁ。」
「ふーん」
僕達は遊園地のゲートをくぐった。
「まずはいつものとこから!」
「はいはい・・・」
君が僕の手を取って走り出した。
君の手が冷たくかんじた。
目的のメリーゴーランドに近づいてきたとき
彼女が僕の方を振り返り何か訝しげな顔をした。
タイミングよく乗ることができた。
(なーにが楽しいんだか・・・)
相変らずはしゃいで僕に話しかける。
乗りおわったとき僕は少しふらついた。
君がまた首を傾げた。
「ちょっと酔っぱらったみたい」
冗談のつもりで誤魔化そうとした。
しかし、
「ちょっとこっちへ来て!」
僕の手を引っ張り出した。
「ちゃんと前むいて引っ張れよ。転ぶぞ!」
君が少し膨れた。
ゲームセンターの前のベンチに僕を座らせた。
「どうかしたの?」
「どうしたのじゃないでしょ。」
「えっ?」
「なんか変だと思ったのよ。遅刻するし。」
「なに怒ってるん・・・だ・・・ょ」
いきなり僕の顔の目の前に君の瞳が接近した。
(えっ?)
「やっぱり!」
「何するのかと思った」
僕の額に君の額がくっついていた。
「こんなそばだと変な顔にみえるぞ!」
君が額を放し僕のとなりに座った。
なにか悲しそうな顔をしていた。
(傷つくこといっちゃったかな)
彼女が重々しい空を見上げながら言った。
「なんで無理してんのよ・・・」
「たいしたことないって。大丈夫だよ。それに・・・」
ちょっと恥ずかしくなって言葉が出なかった。
「それに?」
「それに・・・」
「もういいよ。いいたいことぐらいわかってる。」
「じゃ、次どこいこうか?」
「えーっとね。観覧車」
「観覧車って嫌いじゃなかったのか?」
「今日は特別だから!」
よくわからなかったが、観覧車のほうに向かった。
木枯らしが吹きつける。
僕は思わずせき込んでしまった。
「だいじょうぶ?」
「へーきへーき」
ここのは小さいためかいつも客が少なかった。
今日に限ってなぜか並んでいる。
「いつものジェットコースター
いけばよかったんじゃないのか?」
「今日は一緒にいられるだけでいいの」
思わず真っ赤になってしまった。
「やっぱり帰ろうか?顔色悪いよ?」


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