この物語はフィクションであり、登場人物、団体 地名及び店舗等は実在のものと異なります。 ---------------------------- 夜 ---------------------------- 扉をあける。 明かりを燈す。 誰もいない散らかった部屋・・・ 僕はひとり晩飯を作る。 不器用な僕は包丁の奏でる音にリズム感がない。 たとえ美味しく作れたとしても 食べさせるひともいない。 失敗したとしても 愚痴れるひともいない。 布団に入ってもこの孤独感が 襲ってくる。 苛まされる。 暗闇に覆われれば覆われるほど虚しさに 苛まされる。 電話が深夜にかかってくるはずもない。 でも思わずピッチを手に取った。 こんな深夜にかけていいなんて思っているのか? 常識だろ。 でも常識って何? 常識も僕を苦しめている。 本当の敵は闇に埋もれている。 何も見えない夜にだけ 彼らは後ろから毎晩迫ってくる。 毎晩・・・ もどる