この物語はフィクションであり、登場人物、団体 地名及び店舗等は実在のものと異なります。 ---------------------------- 星 ---------------------------- 寒い・・・ 寒波がきていると聞いてはいたものの 気温よりも風が凄まじかった。 髪がきっと目茶苦茶になってるんだろうな。 駅への足取りが速くなった。 暫くして僕の脇をを車が猛スピードで通りすぎていった。 冷たい風が僕を叩き付けた。 思わず目をつぶった。 目を開けた。 焦点が定まらないので空を見上げた。 寒波のためか強風のためか、空が澄切って美しかった。 真っ正面にオリオン座が輝いていた。 むかし、一緒に帰ったあの小道からみたあの星たちは 視力が限りなく落ちた今でもはっきりと僕の瞳に写っていた。 あの頃は夢も希望も持っていたのに、 何も焦ってはいなかった。 急ぐこともなかった。 でも、僕は何を今・・・何を焦っているのか? 僕のココロの視力は まったく無くなってしまっているのではないかと 思えてならない。 帰るとき見たオリオン座も、 一緒にベランダから見たカシオペアも 今も変わらず輝いている。 僕の瞳も物理的には世界を映し出している。 本当は何も変わっちゃいない。 変わったのは自分自身。 そして、、、風がとまった・・・ もどる